お知らせ

税務・会計平成24年度税制改正のお知らせ(第1回目)

2012.06.11 印刷

平成24年3月30日に、平成24年度税制改正の内容を定めた「租税特別措置法等の一部を改正する法律」が成立し、3月31日に公布されました。

この法律の内容を、1回目は所得税、2回目は法人税、相続税・贈与税、その他の税目に分けて、各税目ごとにお知らせします。

 

◆個人所得課税◆

1.給与所得控除額の見直し 

(1)給与所得控除額の上限設定

現行の給与所得控除額は、給与収入に応じて段階的に控除が増加していく仕組みとなっており、上限はありません。

今回の改正でその年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限が設けられました。

(現行:給与等の収入金額が1,000万円超の場合の給与所得控除額は、収入金額×5%+170万円となり、収入金額に比例して増加します) 

【適用時期】

平成25年分以後の所得税及び平成26年度分以後の個人住民税から適用されます。

 

(2)給与所得者の特定支出控除(※)の見直し 

給与所得者の特定支出控除について範囲の拡大と適用判定基準の見直しが行われました。 

 

(イ)特定支出の範囲の拡大 

特定支出の範囲に次に掲げる支出が追加されました。 

(a)職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費 

(b)職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費及び職務に通常必要な交際費(勤務必要経費)

(注)その年中に支出した勤務必要経費の金額の合計額は、65万円が限度となります。

【適用時期】

平成25年分以後の所得税及び平成26年度分以後の個人住民税から適用されます。

 

(ロ)適用判定・計算方法の見直し

特定支出の額の合計額が、それぞれ次に定める金額を超える場合(現行:給与所得控除額を超える場合)は、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算することができることとなりました。 

(a)給与等の収入金額が1,500万円以下  ⇒ 給与所得控除額×1/2 

(b)給与等の収入金額が1,500万円超  ⇒ 125万円 

【適用時期】

平成25年分以後の所得税及び平成26年度分以後の個人住民税から適用されます。

 

※特定支出控除とは、給与所得者が一定の特定支出をした場合、その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、確定申告によりその超える金額を給与所得控除後の金額から差し引くことができる制度です。

 

(3)その他の見直し

給与所得控除の見直しに伴い、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)」、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」及び「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」などが変更されます。

【適用時期】

平成25年分以後の所得税及び平成26年度分以後の個人住民税から適用されます。
 

2.退職所得課税の見直し 

(1)役員退職手当等に係る退職所得の課税方法の見直し   

勤続年数5年以内の法人役員等の退職所得については、2分の1課税が廃止されました。

 

(イ)退職所得の計算

(a)勤続年数5年以内の法人役員等 ⇒ 退職所得=収入金額―退職所得控除額

(b)上記以外の法人役員等 ⇒ 退職所得=(収入金額―退職所得控除額)×1/2

  

(ロ)退職所得控除額

(a)勤続年数20年以下 ⇒ 40万円×勤続年数(最低80万円)

(b)勤続年数20年超 ⇒ 70万円×(勤続年数―20年)+800万円

【適用時期】

平成25年分以後の所得税から適用されます。個人住民税は、平成25年1月1日以後に支払われる退職手当等から適用されます。

   

(2)その他の見直し

この見直しに伴い、役員退職手当等と役員退職手当等以外の退職手当等がある場合の退職所得の計算方法、退職手当等に係る源泉徴収税額の計算方法及び退職所得の源泉徴収票の記載事項などについて変更されます。 

【適用時期】

平成25年分以後の所得税から適用されます。個人住民税は、平成25年1月1日以後に支払われる退職手当等から適用されます。

 

3.住宅税制の改正

(1)認定低炭素住宅(いわゆる省エネ住宅)取得に係る住宅ローン控除制度の創設

住宅借入金を有する場合の所得税額の特別控除について、都市の低炭素化の促進に関する法律の制定に伴い、認定低炭素住宅の新築又は建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をして平成24年又は平成25年に居住の用に供した場合における住宅借入金の年末残高の限度額及び控除率が次のとおりとなります。

 

居住年            平成24年        居住年            平成25年              

控除期間            10年間        控除期間            10年間

年末残高の限度額   4,000万円        年末残高の限度額   3,000万円

控除率              1.0%        控除率              1.0%

 

(2)認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の見直し及び延長

税額控除額の上限額を50万円(現行100万円)に引き下げた上、その適用期限が平成25年12月31日まで延長されました。

【適用時期】

平成24年1月1日以後に認定長期優良住宅を居住の用に供する場合について適用されます。

 

(3)認定低炭素住宅に係る所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率

都市の低炭素化の促進に関する法律の制定に伴い、個人が平成26年3月31日までの間に、認定低炭素住宅の新築又は建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をする場合における当該住宅に係る所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率について、次のとおり定められました。

所有権の保存登記  1,000分の1 (本則 1,000分の4)

所有権の移転登記  1,000分の1 (本則 1,000分の20

※この他にも登録免許税の改正等があります。ご注意ください。

 

(4)譲渡所得課税の見直し及び延長

(イ)特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の課税の特例

買換えのために自宅を売却した場合には、予定している買換え物件の金額に応じて、売却益に対する課税を繰延べられる特例が設けられています。適用要件の譲渡資産の譲渡対価の額を1億5,000万円(現行2億円)以下に引き下げた上、適用期間が平成25年12月31日まで延長されました。

【適用時期】

平成24年1月1日以後に行う譲渡資産の譲渡について適用されます。

 

(ロ)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

5年を超えて保有する住宅から一定の住宅に買い換える場合、売却損を他の所得から控除でき、控除しきれなかった損失がある場合は、翌年以降3年間繰越控除をすることができます。この適用期限が平成25年12月31日まで延長されました。

 

(ハ)特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

5年を超えて保有する住宅の売却で住宅ローンが残っている場合、その住宅ローン残高との差額損失を一定限度内で他の所得から控除でき、控除しきれなかった損失がある場合は、翌年以降3年間繰越控除をすることができます。この適用期限が平成25年12月31日まで延長されました。

 

4.特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例の見直し及び延長

長期所有(10年を超えて保有)の土地、建物から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えについて、買換え資産のうち土地等の範囲を特定施設(事務所等の一定の施設)の敷地の用に供されるもので、さらにその面積が300平方メートル以上のものに限定した上、その適用期限を平成26年12月31日まで延長されました。

 

5.源泉所得税の「納期の特例」の制度の改正

「納期の特例」の承認を受けている源泉徴収義務者が7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等から徴収した源泉所得税の納期限が、翌年1月20日とされました。(現行:1月10日)

これに伴い、「納期の特例」適用者に係る「納期限の特例」の制度は廃止されました。

【適用時期】

平成24年7月1日以後に支払うべき給与等及び退職手当等について適用されます。

 

6.その他の見直し

(1)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、「電気事業者等による再生可能エネルギーで電気の調達に関する特別措置法」に規定する一定のもの(太陽光発電施設や風力発電施設等の内、一定のもの)を平成24年7月1日から平成25年3月31日までに取得し、1年以内にその事業の用に供した場合には、その用に供した日の属する年分において、その減価償却資産の即時償却ができることとなりました。

 

(2)青色申告を提出する個人事業者について、下記に掲げる適用期限が平成26年3月31日まで延長されました。

 

(イ)青色申告を提出する個人事業者が機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、対象資産の範囲に製品の品質管理の向上に資する工具、器具及び備品が追加された上、その適用期限が平成26年3月31日まで延長されました。

 

(ロ)試験研究を行った場合の特別税額控除制度における試験研究費の増加額に係る特別税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る特別税額控除を選択適用できる措置について、その適用期限が平成26年3月31日まで延長されました。

 

(ハ)中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、その適用期限が平成26年3月31日まで延長されました。

 

(3)適格退職年金契約について、平成24年4月1日において退職年金の給付を受けている者又は給付を受ける権利を有している者のみが当該契約に係る信託の受益者、保険金受取人又は共済金受取人となっていること等の一定の事実が生じている場合は、下記の課税関係が引き続き適用されます。

 

(イ)事業主が支出した掛金等の額は、事業主の所得税の課税所得の計算上、必要経費に算入されます。また、使用人については、事業主が掛金等を支出した時点では給与として課税されません。なお、掛金等の一部を使用人が負担した場合には、その掛金等は生命保険料控除の対象となります。 

 

(ロ)使用人が退職に伴って受け取る退職年金等の内、退職年金として給付されたものは公的年金等に該当し、雑所得として課税されます。また、退職一時金として給付されたものはみなし退職手当等に該当し、退職所得として課税されます。 

 

平成24年度税制改正のお知らせ(第1回目)は以上です。次回は、法人税、相続税・贈与税、その他の税目についてお知らせいたします。なお、ご不明点、疑問点等ある方はお気軽に当事務所、担当者へお尋ねください。

 

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